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「ペンキや」 梨木香歩


今回の本は、梨木果歩さんの絵本です。今のところ「ペンキや」「マジョモリ」「蟹塚縁起」の三冊出てます。それぞれ全くタイプの違う絵描きさんと組んで、その絵の雰囲気に合わせた話になってます。私はどれも好きです。あー、でも、絵本って言っても、意外に長いんで、大人向け絵本って感じですね。私、見かけに騙されて音読したんですけど相当時間かかりました。
 簡単に内容を説明。まず「ペンキや」は、ぺんき屋(塗装業?)の「しんや」が、父のような「ふせいしゅつ(不世出。五十年か百年に一人しか現れないほど、すぐれた存在であること 『新明解国語辞典』より)のペンキや」になるまでのお話。絵、文共に柔らかくて不思議なイメージ。絵を描いてるのはプラハ在住の出久根 育(でくね いく)さん。最初見た時は「?!」って思う絵なんですけど、読み終わる頃には病みつきです。カバーをめくったところのラフスケッチ(下書き?)も暖かい感じがして素敵です。
 で、私がこの本をすごいと思うところは、テーマを「ペンキ」とか「色」とかいう、絵にモロに出ちゃうものにしたとこ。文章だけにして、読者の想像力に任せるのは簡単なはずなのに、絵本にしたってことに脱帽です。特にキーワードの「ユトリロの白」。そんなのユトリロの生まれ変わりでもなきゃ表現できないよーって思うのに、簡単に絵になってる。しかも全く違和感なし(もしかしたら「こんなのユトリロの白じゃない!」って思う人もいるのかもしれないけど)。作家と画家の意図がバッチリ合ってて、すごいことになってます。
 もちろんストーリーもいいですよー。泣けます。いや、逆かな。なんか読み終わってホッとする感じ。もう一回読もうっと。というわけで次は「マジョモリ」を…と思ったんですが、今日はもうすっかり「ペンキや」モードになってしまったので(時間もないしね/苦笑)「マジョモリ」「蟹塚縁起」はまたの機会に、ということにさせていただきます。いつか必ず!ではでは。
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