funini.com -> 児童文学案内 -> 「エルマーのぼうけん」 ルース・スタイルズ・ガネット

マイの児童文学案内

「エルマーのぼうけん」 ルース・スタイルズ・ガネット


 今年の文化祭では実行委員をやってたのでなかなか大変でした。校舎の長−い廊下の装飾の担当だったんですが、夏休み前の装飾会議で結構軽いノリで「天井にでっかい竜作って吊ったらええやん」という話になりまして。廊下の長さを計るところから始まり、(吊るのには重量制限があるので)どんな素材で作れば軽くなるか、尻尾はどうやって細くするか、いざ作る段になれば人が集まらない(そういう私もよく休んだけど)、予算オーバー、等々の問題もありましたが無事、素敵な装飾ができました。余りに丹精込めて作ったため、文化祭終了後に捨てるのが悲しくて悲しくて、製作者はそれぞれ形見に竜の一部をもらいました。
 そんなわけで、今回の本も竜つながりです。ルース・スタイルズ・ガネット作「エルマーのぼうけん」です。これは三部作の一つ目で、あと「エルマーとりゅう」「エルマーと16ぴきのりゅう」と続くのです。けれどもこれは別の物語、いつかまた、別のときにはなすことにしよう。(・・・いえ、同じ話です。ただこのフレーズが使いたかっただけです。って元ネタ分かる人はどのくらいいるんだろう・・・)悪ふざけはこのぐらいにしてあらすじを。「九つのおとこの子、エルマー・エレベーターは、年とったのらねこから、ある竜の子どもが、雲からどうぶつ島に落ちて怪我をして、野蛮な動物たちに捕まっていることを聞きました。エルマーはその竜がとてもかわいそうだと思いました。それに一度でいいから竜の背中に乗って空を飛んでみたかったので、竜を助けにどうぶつ島へ竜を助けに出かけたわけなのです。」ということで、如何にしてエルマーが機転を利かせて動物たちから竜を救い出すかという話なんですね。強いはずの竜が捕まっている、しかも相手が動物だという設定がおもしろいです。動物も、ライオン、虎、イノシシ、サイ、ゴリラ、ワニ、と随分と恐ろしいんですがエルマーの持っている単純なアイテムと考えでころりと騙されてしまうんですねー。憎めないです。エルマーの発想も楽しいし。でもちゃんとドキドキハラハラさせるポイントもあって、しっかり楽しめます。ちなみに挿絵は作者の母親が描いてるので、イメージぴったりって感じです。
 さてここで一つ気づいたことなんですが、この物語、語り手はエルマーの息子なんです。といっても「ぼく」が出てくるのは最初の2ページだけで、読んでるうちに、ただの三人称小説のように思えてきます。で、これは変だと思っていたわけです。普通にエルマーを主人公にしちゃえばいいのになんでわざわざ違う「ぼく」が出てくるんだ?と。そして今日、ふと思いつきました。「これは、原作では英語なんだから『ぼく』は『わたし』なんじゃないかしら。そうだわ、これ原作者(ルース・S・ガネット)は女の人だもの、女の人が男の子の冒険を語るからこんなややこしい設定にしたのよ。それが日本では訳者が男の人(渡辺茂男)だから、語り手が『ぼく』になってるんだわ。私って頭がいいわ。天才だわ!」私は、自分の頭の良いのが嬉しくて、その話を聞いてくれる人のいないのが悔しくてたまりませんでした。・・・というわけでここで初披露。ちなみに前の3文は「魔女ジェニファとわたし」のエリザベス調でお送りいたしました(マイナーだ)。しかも全くの私的推測なので真偽の程は定かではありません。この説を唱えて周囲から白い目で見られたりしても責任は一切お取りしませんので悪しからず。そんなわけで今回はここまで。ごきげんよう☆
funini.com -> 児童文学案内 -> 「エルマーのぼうけん」 ルース・スタイルズ・ガネット