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マイの児童文学案内

「マキちゃんの絵にっき」 伊勢英子


―――はーい、今回のゲストは、いつもイラストを描いて下さっている、マイさんです。マイさん、こんにちは。
マイ「はい、こんにちは。ってコレ去年と一緒じゃん」
―――いやいや一緒なんかじゃないですよ。去年のゲストは文章を書いてるマイさんで、今年はイラストを描いてるマイさん。
マイ「…なんかこじつけっぽいなぁ…」
―――まあその話はこっちに置いといて、さっそくマイさんに質問です。どうしてマイさんはそんなに前髪が短いんですか?
マイ「キャンプで火の番してたら焦げたから切ったの!もう、そんなことしか聞かないなら帰るよ(怒)!」
―――帰らないでください、ほら、髪ぐらいすぐに伸びますよ、ね。あ、髪って洗うと早く伸びるらしいですよ。
マイ「何その嘘くさい情報は。どこで仕入れてきたのさ」
―――この本ですよ。伊勢英子「マキちゃんの絵にっき」。
マイ「あーっ、それ、あたしが今回紹介しようとしてた本だよ。どうも見当たらないと思ったら…」
―――いえ、その辺に置いてあったんでちょっと読み始めたら止まらなくなっちゃって。それじゃあもうこのまま紹介の方にいきましょう。えーと、この本は、絵本?ではないですよね。でも、作者がもともと画家なんですよね?
マイ「うん。伊勢英子さんは、画家で、大体は子どもの本の挿絵を描いてる人なんだけど、イラストつきエッセイも何冊か出してて、この本は、伊勢さんが自分の娘が幼稚園の時のことを、娘の視点で書いてるの」
―――なるほど。では、マイさんが今回この本を選んだ理由は?
マイ「好きだから。この一語に尽きます!」
―――あの、それじゃあ話が続かないんですけど…。
マイ「うーん、そうだな。私がこの本に会ったのは、小学校二年の時。学級文庫にあったんだよね。可愛くない子どもだったからさ、学級文庫の本なんか馬鹿にしてたんだけど、この本はねー。初めて自分で見つけて好きになった本、かな。それまでは家にある本とか、母親に読んでもらって好きになった本ばっかりだったから。余りに好きになったから、こっそり私と一緒に進級させてた(笑)」
―――どういうことですか?
マイ「学年が変わると教室が変わって学級文庫も変わるじゃない。それが嫌だから、この本はずっと私が手元に置いといて、三年から六年まで持って上がってたの」
―――はい、良い子は真似しちゃいけませんよ。全く、どんな小学生だったんですか。
マイ「あはは。まあそれだけ好きだったのさ。で、その時読んでた本は、講談社から出てて、ハードカバーで、題名も「マキちゃんのえにっき」だったんだけれども」
―――けれども?
マイ「今は中公文庫で文庫化されてる!おととしかな、本屋で見つけて即買っちゃった。しかも表紙は書き下ろし!」
―――じゃあそろそろ内容の方にいきますか。
マイ「そうね。まずは私事で悪いんだけど、私ね、マキちゃんと似てたの」
―――またまたぁ。
マイ「これは本当。小二で感じたことだもん。末っ子だったし、顔は丸かったし、両親共働きじゃなかったけど、自転車登園じゃなかったけど…あれ、似てない?まあいいや、とにかくその時は、『これぞマイの本!!』って思ったわけよ。伊勢さんがものすごく子どもの視点で書いてて、自分のこと(本の中では『お母さん』)も、変に美化してないんだ。イラストも、すっごくあったかくて、そのものって感じで大好き。あ、分かった、あたしと考え方とか感じ方とかが似てたんだ、きっと」
―――マキちゃんと?
マイ「そう。あとね、話はあたしなんかが話すより読んで欲しいんだけど、文庫の帯に書いてあったキャッチコピーは割と好き。『はやく大人にならなきゃいけない子どもと、子どもだった頃がわすれられない大人たちへ』。この、『わすれられない』っていうのは過去に囚われてるとかいう悪い意味じゃないんだよね」
―――分かります分かります。それじゃ、この中からあえて一つだけエピソードを選ぶとしたら?
マイ「あ、それはこれだわ。本の構成としては、マキちゃんの三歳から六歳まで順番にお話が九つ入ってて、その合間に“小さなお話”っていう、1ページぐらいの話があるんだ。その中の『マキだよ。』って話。これ、あたしと母親そのものだったの(笑)」
―――へえー(と、読んでみる)。はあー…。
マイ「この本は本当に読んで欲しいね、ちょっくらマイナーなだけに私の思い入れも強いし」
―――そうですね。今日は長い間どうもありがとうございました。
マイ「ありがとうございました」
―――マイさんでした。これからもよろしくお願いします。では、また次回、お会いしましょう。
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