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マイの児童文学案内

「西の魔女が死んだ」 梨木香歩


―――はい、こんにちは。今回は特別企画として、著者のマイさんにおいでいただきました。早速お話を伺いたいと思います。いきなりですが、今回はこのまま本の紹介をしていこうかと思うんですが、いかがですか?
マイ「はい、大丈夫です。今回の本は、私の好きな本ベスト5に入ってます。割と流行したのでご存知の方も多いかもしれません。梨木香歩著『西の魔女が死んだ』です」
―――あ、聞いたことあります。梨木香歩さんって、「裏庭」とか有名ですよね?
マイ「そうです。私、あんまりベストセラーって読みたくないなと思ってて、特に日本の児童文学ってあんまり興味なかったんです。で、『西の魔女が死んだ』も、読んだのはつい一年前くらいでしたね。とある牧師さんに薦められまして」
―――とある牧師さんって…(笑)。
マイ「まあそれで読んだらめちゃくちゃ良くて。中三の内に読めて良かったーって思いましたね」
―――どういうことですか?
マイ「この本の主人公の『まい』は、中一で不登校になってしまって、イギリス人である母方の祖母のところで一ヶ月くらい一緒に暮らすんです。それでこの本は、中三になったまいが、そのときのことを思い返す、という形で書いてあるので」
―――自分を重ね合わせられる、ということですか?
マイ「いや、そんな大層なことじゃないです。私は生粋の日本人ですし、毎日楽しく学校行ってますし。ただ、そういう年齢独特の考え?感じ方?まあそういうものがあると思うので、その、同じときのまいに会えて良かった、ということです。重ね合わすということなら、年齢以外の共通点から入りました」
―――例えば?
マイ「まず名前(笑)。あと、まいが不登校になった原因である『友達付き合い』についての考え。年度初めにクラス内でグループを作って、その作る時期を逃すと孤立してしまうっていう、まいの考えは、昔私が思ったことと一緒なんです。ま、今の私の周囲ではそんなにグループの線がはっきりしてないし、入らなくても全然やっていけるんですけど。それと、この本の主題でもある『死』については、本当に偶然に、まいと同じような経験があるんです」
―――と、いうと?
マイ「私がまだ幼稚園児だった頃だと思うんですが、父に『人は誰でもいつかは死ぬんだよ』って言われて、それがその頃の私にはとてもとても怖くて、心に残ってて、小学校三年くらいまでずっと忘れられなかったんです。夜中にふっと目を覚ましてその言葉を思い出したりしてて…。いつの間にかそういうことはなくなったんですけど。まいは、『死』について知ろうとしたら、やっぱり父親に『人は死んだらそれっきり』と言われて随分悩むんです。こうやって書くとあんまり似てないんですが、私はこれを読んだ時、すごいドキッとしました」
―――なるほど。きっとマイさんにとって何か縁のある本だったんですね。
マイ「多分そうですね。そういう本に出会えるっていうのが読書の醍醐味です」
―――今回はいつになく真面目なシメで(笑)。
マイ「(笑)はい。これからもよろしくお願いします」
―――こちらこそ。では、本日はどうもありがとうございました。また、お会いしましょう。
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