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「朝びらき丸 東の海へ」 C.S.ルイス


今回の本はかの有名なC.S.ルイス作「ナルニア国ものがたり」の中の一つ、「朝びらき丸 東の海へ」です。「ナルニア国ものがたり」は、全部で七作あって、七作で完結した話です。ただ、舞台はいつもナルニア国ですし、続けて読んでいれば、「こっ、これ(この人)はまさか、あの時の・・・!」という楽しさも味わえます。「朝びらき丸」はストーリーの流れとしては、五作目ですが、出版順にいえば、三作目・・・ですか。では毎度お馴染み、あらすじにございます。
 いとこのユースチスの家に来ていたペベンシー家のエドマンドとルーシィは、ユースチスもろとも絵の中に吸い込まれます。そこはナルニアの外海で、三人はカスピアン王の船、「朝びらき丸」に救われ、行方不明の七卿を探す、東の海への探索に加わります。
 何か短いですが、多分知ってる方も多いんで、これで妥協することにして、と。すこし補足。というかこれはやっぱり前作の「カスピアン王子のつのぶえ」を読んだ方がいいです。主要人物も何人か出てきますし。で、更に言うと「ライオンと魔女」も読みましょう。ナルニアの基本です。全然知らない人のためにいっておくと、エドマンド達はこちらの世界の子どもですが、ナルニア国っていうのはまったくの別世界です。以上補足説明。
 もう説明するのも難しいんで登場人物批評にいっちゃいます。私が好きなのは・・・うーん、コリアキンか。すごいマイナーどころですが。正統派でいくと、一の王、ピーターが好きなんですが「朝びらき丸」には出てこない・・・。反対に嫌いなのは、ルーシィ。この人は昔から嫌いでした。ひねくれ者の私は、こういう本心から良い子で、素でいいことが言えちゃう子がどうにも気に入らない、ということでしょうか。だから、その点で行くと、エドマンドやユースチスの方が分かります。カスピアンは天然ボケですし。あ、あと今読み返してて気になる人発見!副船長のラインス。なかなか良い発言してますよ、彼は。余裕が出てきたら是非注目したい人ですね。で、忘れちゃいけないのがこの人物・・・じゃなかった、ネズミのリーピチープ。彼はいいですよね。「勇武なることネズミのごとき」ですからね。ってネズミですけど。
 ところでナルニア国ものがたりっていうのは、根本にキリスト教の精神があります。「ライオンと魔女」のアスランはイエス・キリストそのもので(他のところでも「海のかなたの国の皇帝のむすこ」といってますし)、ネタばれになるので詳しくはいいませんが「さいごの戦い」の、ラストにもそう感じさせるところがあります。でも、それは今、私が一応は「聖書」というものを知っているから分かることであって、幼いときの私は、そんなこと全然気にせず読んでいました。まあ今もそこまで深く真剣に真面目に考えているわけでもないんですが。やっぱり、聖書に限らず、いろんなことに興味を持って、いろんな知識を得るのは、大切なことだと思います。知ることによって、見方や感じ方が変わってくるものもありますし。この、「ナルニア国ものがたり」もその一つ。読む度に新たな発見ができる、名作の名に恥じない作品です。是非一度といわず二度三度、読んでみて下さい。
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