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「二分間の冒険」 岡田 淳


 私のクラブは「演劇研究部」といいます。別に何も研究してません。いわゆる「演劇部」です。変わってる事といえば女子校なんで男役も女子がやることくらい。やる劇は主に新劇です。
 さて、なんでクラブの話をしたかというと、今回紹介する本は私が演じた芝居の原作だからなんですね。岡田 淳作「二分間の冒険」です。これを演じたのは中二の時の新入生歓迎会でした。話自体は前から知ってて好きだったので(岡田淳さんの本は全部読んでると思う。「こそあど森シリーズ」が好き。あと、小学校の時に友達が薦めてくれた「扉の向こうのものがたり」とかね)脚本で本筋を変えちゃうのがすごい嫌だったんですが時間の都合もあったし、その頃は脚本は先輩が決めてたんでどうしようもなくて悔しかったのを覚えてます。まあ原作のままでやるには演技力も舞台設備も足りなかったんで結局は良かったと思います。それに私の役は原作と全然変わりなかったし。あ、あらすじ忘れてた。
 体育館での作業中に見つけたとげぬきを保健室へ持って行く途中、悟は妙な黒猫、ダレカと出会う。ダレカは見えないとげを抜いてくれたお礼にと言って、悟を別の世界へ連れて行き、「この世界でいちばんたしかなもの」の姿をしているダレカを見つけたら元の世界に戻してやるという。悟はその別の世界で、元の世界の記憶がないらしい六年三組のクラスメート達に、その世界を支配する竜の生け贄になる役を押し付けられて・・・?
 で、今回の感想(雑想)は、自分の芝居を思い出しつつ書くことにします。まず私の役は誰かと言えばダレカ。いや、ギャグじゃなくって。百円均一で買った猫耳と尻尾つけて全身真っ黒でやりました。今考えるとかなり恥ずかしい格好だよな。役としては大のお気に入りでした(もちろん今も好き)。黒幕っぽいし。主人公(悟)だって、結局ダレカに遊ばれてるんだし。真の主役はダレカですよ。だって、ほら、本のカバーをめくると・・・。こういうキャラクターって本当好きです。物語全体としても、一筋縄ではいかない、いろいろと考えてあるストーリーで、結構入り込めます。別の世界での冒険は、ただ悪い竜を倒すという勧善懲悪のものではありません。また、根本にある「いちばんたしかなもの」というのは物語の中だけのものではなく、今、生きている私達にとっても難しい問題だと思います。答えは本を読めば分かります。でも、それを自分で、心からそう思うっていうのは、なかなか出来ないことだと思います。普通に書けばすごく深刻になってしまいそうな内容なのに、後味はすっきりです。それもやっぱりダレカのおかげでしょう☆(←ウソ)
 私が読んで、演じて、心に残ってるのは、悟が元の世界に戻るためにあんなにがんばって、別の世界をいろいろな意味で救ったのに、元の世界に戻ったら、「あの世界?もう、ないよ」(Byダレカ)って言われるところです。確かに最初にダレカは「こいつはおまえだけの時間だ」とは言ってますが、あまりに悟に感情移入して読んでると、そこはちょっと戸惑いますね(私だけか?)。ま、それも一興でしょう。
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