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大向こう

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歌舞伎座で「秀山祭九月大歌舞伎」の
「再桜遇清水(さいかいざくらみそめのきよみず)」を見た。

鎌倉の新清水(しんきよみず)寺で、桜姫(中村雀右衛門)の恋人の清玄(きよはる)は、姫に横恋慕する胤長(たねなが)に文を見つけられ引っ立てられる。
姫の腰元の山路が、文にある名は僧の清玄(せいげん)(染五郎)であると強弁し、清玄(せいげん)は驚きながらも人助けのためと、破戒僧の汚名を着せられ寺を去る。
ところが、真剣に姫に恋した清玄(せいげん)は堕落の一途をたどり、ついには姫に迫るところを、姫の奴磯平(中村歌昇)に殺されるが、それでもなお怨霊となって桜姫を追う。

当代の吉右衛門が、江戸時代の話を元に脚本を書き、過去二回演じ、今回は監修した作品。染五郎は奴浪平(やっこなみへい)との二役。早変わりで忙しい。

名前の漢字が同じだったばかりに死ぬ羽目になった不運な僧の話で、最後も「あれ!?」という終わり方だが、楽しく華やかな江戸の娯楽という感じがした。

時間の都合上、「一幕見席の通し」で、この演目だけ見た。四階最上列だったので両端から「高麗屋」「播磨屋」などと声がかかる。日本人より西欧系の観客が多く、声がかかるたびに興味深そうにそちらを見ていた。