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こぶしの花

こぶしの花が出てくる確か志賀直哉の随筆があった。車窓から早春の山並みを眺めていたら、こぶしの花が鮮やかに咲いていた、という内容だ。
それを読んでまだ見ぬ「こぶしの花」に憧れた。ところが何年もたってから実物を見たときは、まずがっかりした。白くて清楚で、桜や梅くらいの小ぶりな花を勝手に想像していたのだ。
綺麗に咲いているこぶしの花を見ると今でも、そのがっかり感を思い出してしまう。こぶしに罪はないのだが・・・。