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万作萬斎狂言公演

最初は、素囃子の「神楽」。天岩戸にこもったアマテラスを呼び出すため、その前で舞踊りが演じられた。その様子を描いたもの。

次は、野村万作が鍋売りを演じる「鍋八撥(なべやつばち)」。新しい市の代表の座をめぐって、鞨鼓(かっこ)売りと鍋売りが争う。鞨鼓というのは鼓(つづみ)のような楽器で、それを打ちながら舞う鞨鼓売りに負けじと、鍋売りが鍋を打ちながら舞う。最後に鍋が割れてしまうが「数が増えてめでたい」という落ちになるため昔は祝言で演じられたそうだ。

最後は、「釣針(つりばり)」。独り者の主人が太郎冠者を連れ、妻を得ようと西の宮の夷(えびす)に参詣すると釣り針を授かる。その釣竿で、太郎冠者が妻と腰元を釣り上げる。最後に自分の妻も釣り上げたのだが、顔を見て逃げ出すはめになる。萬斎演じる太郎冠者の「釣ろうよ、釣ろうよ~」という掛け声がおもしろい。

いずれも新春にふさわしく、また今も「えべっさん」で親しまれている西宮神社のある兵庫県西宮市で行われたので、ぴったりの演目だった。