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葵祭

 京都下鴨神社の糺の森(ただすのもり)を葵祭の行列が進んでいく。若い女性扮する十二単姿の「斎王代」の乗る輿を中心に、牛車、花傘、騎馬を含む総勢五百名が、平安装束をまとい、葵と桂の青葉を飾っている。音曲や踊りがなく、ただ、しずしずと歩くだけなので、背景の新緑の中に鳥のさえずりも聞こえてくる。その後は、古式にのっとり馬を走らせる「走馬の儀」。平安朝の人々が、ふつうに歩いたり話したり馬に乗ったりしていて、タイムスリップしたような気にさせられる。
 その後、鴨川の岸で休憩した。出町柳の柳月堂のパンを一口かじったとき、背後からビュッと風圧を感じたと思ったとたん、手に持ったパンが消えた。魔法にかけられたようでぽかんとしていると、目の前の少し先を鳥が大きなパンをくわえてよたよたと(重そうに?)川の上を低空飛行していくのが見えた。トンビだそうだ。人の体をかすりもせず、ねらった獲物だけをさらっていったのはお見事だが・・・